(戦災資料センター・ニュースNo.44より)
皆さん、あけましておめでとうございます、本年もどうぞよろしくお願いします。今年のお正月は、元旦から痛ましい報道が続き、胸が痛みます。なくられた方々に深い哀悼の意を表します。富山県には、私の大学教員時代の教え子が4名います。仕事は、県の職員、電力会社勤務、新聞記者、医師です。4人とも仕事柄、災害支援で多忙を極めていると思いますので、連絡を控えていますが、やはり近況が気になります。一人一人の教え子の顔を思い浮かべながら、再び酒を酌み交わせる日の近からんことを切に祈っています。
自らも空襲体験者である、俳優の仲代達矢さんが、ある新聞のインタビューの中で、痛みを経験しなくても、その痛みを想像することはできるはずだ、その想像力に望みを託すしかない、と語っていました。心にしみいる言葉です。私たちの多くは、戦争を直接体験していません。しかし、体験者の証言に耳を傾け、歴史から学ぶことによって、戦場や被災地の凄惨な現実を想像することはできます。東京大空襲・戦災資料センターは、そうした想像力を鍛える場として、今まで以上に大きな役割を果たしたいと思います。私も今年からシルバーパスをいただける歳になります。『日本軍兵士』を書いてから、もう6年がたちます。この間、平和をあざ笑うような言説に腹立たしい思いを抱いてきました。「遺恨十年一剣を磨き」ではありませんが、4年ほどさばを読んで、今年こそは続編を書き、反撃したいと思います。