巻頭言

(戦災資料センター・ニュースNo.41より)早乙女勝元・名誉館長が亡くなられた。心から哀悼の意を表したい。私は館長に就任するまで、館の運営に直接かかわったことはなかったので、残念ながら早乙女さんと一緒に仕事をしたことがない。ただ館長の交代の時に、私はもっと天皇制の批判をしたかったのだが、館長としての立場があるので抑制してきたという趣旨のことを語っておられたことが、記憶に強く残っている。空襲体験者には、当然のことだがいろいろな方がいる。都立の平和記念館を作るということになれば、保守党の議員にも働きかけねばならない。そういう諸々のことに配慮しなければならなかったということだろう。あるいは軽率で無頓着な新館長に対する戒めの言葉だったのかもしれない。早乙女さん自身は強い信念の人だったが、館長としては微妙なかじ取りを常に要求され、苦労を重ねられたのだと思う。早乙女さん、長い間本当にご苦労様でした。あなたの遺志をしっかり引き継ぎたいと思います。

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