岐路に立つ全国戦没者追悼式

(戦災資料センター・ニュースNo.39より)毎年8月15日を「終戦記念日」として全国戦没者追悼式を開催するようになったのは、1963年以降のことです。今この追悼式自体が大きな岐路に立たされています。まず式典の意味が曖昧なままです。そもそも追悼の対象には外国人の戦争犠牲者は含まれているのでしょうか。日本人の場合は日中戦争以降のすべての戦没者とされていますが、満州事変の戦没者はなぜ含まれないのでしょうか。追悼式に歴史に対する反省という意味を込めるのならば、歴史の大きな転換点だった満州事変を含めるべきでしょう。また、遺族中心の式典も高齢化によって困難になっています。現在出席する遺族の中心は戦没者の遺児です。すでにかなりの高齢者であるため、最近では孫・ひ孫の出席も認めています。式典のありかたそのものを再検討すべき時期に来ているにもかかわらず、政府は動こうとしません。むしろコロナ感染防止を口実にして、式典の縮小という既成事実を積み重ねているように思えてなりません。

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