開館15年で想うこと

 (戦災資料センター・ニュース No.31より)
 ことし、東京大空襲・戦災資料センターは、開館15年となります。日ごろの皆さんのご協力と、スタッフ一同に感謝いたします。毎年好評の夏休み特別企画も近づき、てんやわんやの日々かと思います。
 さて、その特別企画ですが、昨年夏にたまたま手伝いに来ていた東京成徳大学の学生二人が、これをきっかけに空襲に興味を持ち、大学で自ら空襲展を開催し、反響を呼んでいるという記事が4月の朝日新聞東京版で取り上げられました。この空襲展はなかなか好評だったようで、孫のような世代の活躍に私自身が大変おどろきました。種はまかなければ実りませんが、はぐくむ土壌もまた必要です。私どものセンターが15年をへて、確実にその場所になりつつあることを実感し、養分を与えてくれた皆様にも感謝する次第です。
 その昔、よく口ずさんだ歌の一節に、「死んだ親が後に残す宝物は何ぞ…」とありましたが、今にして思えば、宝物は平和憲法だったのだと思います。私の代でそれを手放すわけにはいきません。戦争はまっぴらごめんで、戦争につながる道には孫たちの手を借りてでも、NOの声を上げたいと思います。
 それこそ、「千載に悔いを残さぬために」と想う日々です。当センターは、目下リニューアル募金と工事入りするところです。私も85歳。次世代の活躍を見届けるまで、もうひとふんばりです。

一覧へ