2012年2月1日(戦災資料センター・ニュース No.20より)
この3月10日で、戦災資料センターも、開館10周年を迎えます。
おかげさまで、来館者はすでに10万人を超えました。若い研究者たちの活動拠点にもなり、さまざまな成果を挙げつつあります。たとえばDVDブック『東京・ゲルニカ・重慶』を岩波書店から、ビジュアルブック『語り伝える東京大空襲』(全5巻)、さらに個人的に『ハロランの東京大空襲―B29捕虜の消せない記憶』(10頁参照)を、共に新日本出版社から刊行し、証言映像プロジェクトも着々と進んでいます。
東京大空襲・戦災の語り継ぎと研究は、10年の実績を踏まえて、新たな1歩を―というところで、難問に直面しました。
昨年春の東日本大震災です。天災は人災に移行し、原発による未曾有の大事故は放射能の飛散で、私たちの日常を「非日常」に変えてしまいました。センターもその影響により、年ごとに増加していた修学旅行生徒らの来館が全国的にキャンセル続き、昨年の来館者半減という非常事態を迎えました。目下、徐々に回復中ですが、このピンチをどう乗りきって、新たな展開へつなぐかが、ことしの課題です。
センターを支える皆さんは、70代後半がもっとも多く、「開館10年まではなんとかするが、そこまでに」の声を耳にします。しかし、国会に憲法審査会が始動したこの時期に、平和への種まき事業を減速させるわけにはいきません。維持会員ならびに協力者は共に手を結び、センター支援の輪を、さらに広げていただきたいのです。
かくいう私も、この3月末で80歳。大役も潮時かなとひそかに思っていましたが、もうひとふんばりと心しています。よろしくお願いする次第です。
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