語り継ぐ要(かなめ)の場を、しっかりと新しい時代のために

 06年7月10日(戦災資料センター・ニュース No.9より)
 「新聞で増築募金のことを知りました。つきましては500万円を、お送りしたいと思います」という電話を受けた事務局の女性は、びっくり仰天。「どうかなさいましたか?」と、問いかけられてしまったそうです。
 京都にお住まいのUさんは、先頃ご夫君を亡くし、その遺志をということでした。ご夫君は東京大空襲の「炎の夜」に、陸軍の軍医少尉だったのです。旧本所区の中和国民学校講堂内で救急治療に当たりましたが、その惨状たるや、一般市民、婦女子の「戦場」だった、と記録しています。その体験が、医師として生きる原点になったのでしょうか。ご好意に胸が熱くなりました。
 センターは、いよいよ増築工事入りしますが、募金のほうは、もう一息のところ。新築4年で増築とは、夢にも思いませんでしたが、ぜひにという要望があればこそです。東京大空襲・戦災を語り継ぐ要(かなめ)を、しっかりと、より充実したもので、確保したいと思います。

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