センターの役割さらに重く

 2013年2月1日(戦災資料センター・ニュース No.22より)
 戦後という言葉もぴんときませんが、ことしは68年です。あの年に生まれた赤ちゃんも古希2年前で、戦後70年の節目が急接近してきました。
 人間の体験は60年で歴史に移行するそうですが、その説に10年を上乗せすれば、戦争はこりごりだという人の語りや主張は、ほぼ終了です。そして、戦争を知らない世代ばかりになるわけで、その後に生きる人びとに必要不可欠なのは、追体験による知性ではないでしょうか。
 都民の戦禍追体験のカナメたる当センターの役割はさらに重く、目下、中・高校生にもわかりやすい特別展示や、空襲体験者の証言映像収録など、スタッフ一同けんめいに奮闘しています。戦争を防ぐと一言にいいますが、それには戦争が民間人にとっていかなるものだったかを知ること、学ぶことが先決で、その営為が、これからの平和を確かなものにするはずだからです。
 かくいう私も、追体験のお役に立ちそうな三冊を出すことになりました。[1]はその昔、いわさきちひろさんの絵でまとめた戦中の物語『ゆびきり』で、2月中に新日本出版社から。1、2カ月遅れで[2]が『東京空襲下の生活日録──銃後が戦場となった10カ月』(編・東京新聞出版部)、[3]は『私の東京平和散歩』(仮題・新日本出版社)と続きます。
 ケイタイの普及で、必要な本ほど苦戦する状況ですが、「国防軍」に「集団的自衛権」「憲法改正」などの主張が声高になりつつある現在、いつか来た道入りはまっぴらごめん。「忘れない、諦めない、無力ではない」と自分にいいきかせながら、皆さんとご一緒に平和のバトンを次代に、と思う日々です。

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