今こそ平和のバトンを 過去は未来のために

 04年8月1日(戦災資料センター・ニュース No.5より)
 来館者が2万5千人に近づきつつあります。そのうち、中学生の修学旅行を含めて、団体の方が7割近くです。後世代への継承という点で、これはとても心強いことではないでしょうか。
 同時に個人が増えてくれるといいのですが、感想ノートを読んでいましたら、こんな意見がありました。「自衛隊のイラク行きなどにとやかくいう暇があったら、語りつぎをしっかりやれ。どうせ、なるようにしかならないのだから…」私どもへの激励なのでしょうが、匿名です。お名前とアドレスがわかれば、なんのために東京大空襲の惨禍を訴えているのかを、わかっていただきたいと思いました。
 過去は、未来のためにあるのです。戦時下の都民の惨禍を語り伝えるのは、未来の平和のためであって、単に歴史を後ずさりすることではありません。戦後が“銃後”に移行しつつある現在に対し、「なるようにしかならない」では、若い世代は決して納得しないでしょう。
 民衆の戦禍を語り継ぐ者に、必要不可欠なのは平和のバトンです。二度と戦禍を繰り返すまじの、熱い思いをこめたバトンです。戦後生まれが75%にも達した今、戦争を阻止するにはその実態を知らねばならず、当資料センターの存在と意味がますます重くなってきました。

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