(戦災資料センター・ニュースNo.46より)遅ればせながら、明けまして、おめでとうございます。本年もよろしくお願いします。今年は、「戦後80」年です。明治元年(1868年)から敗戦までが77年ですから、すでに戦後の方が、戦前より3年長くなっています。この節目の年に、長い戦後史の総括をすることが求められていますが、状況はかなり複雑です。一つには、「侵略」か「自衛」か、という激しい論争が示しているように、日本社会では、かつての戦争の評価が未だ定まっていません。もう一つは戦争体験世代の減少です。戦後の日本社会の中で、戦争体験者は、軍事大国化に対する抑止力になってきました。その重しが外れようとする中で、「防衛政策」の根本的転換が行われています。三つめには、「戦後80年」の意味や意義が必ずしも明確でないことです。ここ数年、マスメディアの「8.15報道」を見るたびに、何か方向性を失いつつあるな、という思いをぬぐい切れませんでした。おそらく、それは、体験者から取材して、改めて「平和の尊さ」を確認する、という報道の図式が体験者の減少によって、成り立たなくなっていることの反映でしょう。私たち自身も、そのことと無縁ではありません。方向性を見失いつつあるのではないか、ということを自覚したうえで、「戦後80年」の意味や意義を、社会に対しても自分自身に対しても、繰り返し、繰り返し、問い続ける必要があります。そうした問い直しのためにセンターが果たす役割は大きいと思います。がんばります。
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