(戦災資料センター・ニュースNo.48より)昨年は「戦後80年」の節目の年でしたが、いまだに「戦後」が終わらないことを痛感した年でもありました。特に印象に残ったのは、日中戦争以降、敗戦までの戦没者数の問題です。政府見解によれば、この時期の戦没者数は軍人・軍属等が230万人、民間人が80万人、合計310万人とされてきました。ところが、昨年公表された国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、この間の戦没者数は推定で376万人にもなります。沖縄戦や空襲による死没者数が少なすぎるのではないかという批判が従来からありましたが、社人研の推定が政府見解より66万人も多いのには驚かされました。軍人・軍属等に関しては、不十分なものではありますが、政府や各都道府県が戦没者一人一人の個人データを保管しています。不十分だというのは、兵籍簿などの基礎資料が敗戦直後に焼却などにより失われている場合が少なくないからです。それでも最小限の個人データが存在し、それが厚生省を通じて靖国神社に送付されて戦没者の合祀が行われてきました。1998年現在の合祀者数は政府見解とほとんど変わらない232万人です。したがって、軍人・軍属等の戦没者数はやはり230万人ほどであり、むしろ民間人の戦没者数が80万人を大きく上回るということになります。それにしても、何人の人間が戦争で死んだのかという基礎的な事実すら、いまだに把握できていないことに驚きと怒りを感じます。政府は戦没者調査を改めてやり直すべきです。
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