【06】3月1日、「東京大空襲 いのちの被災地図」と「東京大空襲 証言映像マップ」の公開記念イベントを開きました
当日の様子をお伝えします
3月1日、戦災資料センターが約4年をかけて研究・制作した、「東京大空襲 いのちの被災地図」と「東京大空襲 証言映像マップ」の公開を記念するイベントを開きました。
「いのちの被災地図」については、センター主任研究員・青木哲夫から、「東京は下町以外の地域も空襲で大きな被害を受けた。今回は、東京の北部、南部、山の手の被害も含めて地図化したので、東京の区部全体がどれほど大きな被害を受けたかみてほしい」と説明しました。
「証言映像マップ」については、制作のディレクションを担当したセンター主任研究員・山本唯人から、マップの操作法と「個人史を通して空襲・戦争体験を学ぶ」という考え方が説明されました。それは、戦争体験「だけ」の証言を切り取るのではなく、戦争前はどう生活していたのか、また、戦争が終わったあと、どれほど長く、深く戦争の傷あとが人生に影響を与えたのか―体験者の個人史を追体験するようにして、戦争といまがどうつながっているのかを学ぶことです。
こうした発想から、5人の空襲体験者による、戦前・戦中・戦後の生活を含めた71エピソードの証言映像が公開されました。
映像制作を担当した映像プロデューサーの早乙女愛さんは、「いままでの証言映像作品では、証言者がまるで別の世界に住んでいる人のように見えてしまい、いまとのつながりが感じられなかった。証言映像の見せ方を変えたかった」と語りました。
「証言映像マップ」に活用したデジタル地図ソフトウェア(c-loc)の開発者であり、デジタルメディア・ソフトウエア制作を担当した、アーティスト/東京工芸大学准教授の野口靖さんは、「この作品はイメージを提示するだけにとどまらずに、ひとつひとつの映像が作り込まれている。デジタル技術を応用しながら、内容をきちんと伝える証言映像アーカイブとして価値がある」と評価しました。
「証言映像マップ」については、パソコンに慣れていない世代には使いづらい、学校の教材として使えるようにしてもらいたい、インターネットで公開してほしいなど、フロアの参加者から活発な意見が出されました。
この日は、くもりの天気でしたが、75人もの方に参加していただきました。
ありがとうございました。
「東京大空襲 いのちの被災地図」「東京大空襲 証言映像マップ」は常設展示として公開しています。開館日にいつでも、どなたにでも、見ていただけます。
みなさんもぜひ一度、新しい展示を体験してみてください。