【10】3月9日に「東京大空襲を語り継ぐつどい」を
カメリアホールで開催しました
当日の模様を写真で簡単に報告します
3月9日(土)、亀戸駅前のカメリアホールで「東京大空襲を語り継ぐつどい──戦災資料センター開館11周年」を開催しました。
東京大空襲関係や脱原発など多くのイベントが重なる日でしたが、多くのみなさんに参加いただき、とても有意義な一日を過ごせたと思います。センター運営に向けた維持会員や維持募金なども数多くお申し込みいただき、ありがとうございました。
【会場と開演前風景】
会場のカメリアホールがある、亀戸駅前のカメリアプラザ。昨年は朝から氷雨が降りましたが、今年は春らしい暖かな日となり、ほっとしました。
ロビーでは、書籍の紹介をおこないました。昨年、新潮社から刊行された東方社の写真関連の2冊や、早乙女先生の新刊『ゆびきり』、好評で改訂版が出ている『東京大空襲を歩く』などが注目を集めていました。
空襲体験者の橋本代志子さんが折ってくれたはばたく折り鶴が、今年も一人ひとりの参加者に配られました。【第一部】
オープニングは、赤尾三千子さんによる献笛「いのち 深川」。暗闇のなかから突然笛の音が聞こえてきて演奏が始まり、鎮魂の調べが場内に響きわたりました。
共演は、三絃とうたの本田由美子さん。
司会は、丹治温子さんと細井美穂さんにお願いしました。
今年の「空襲体験を語る」は、「3月10日、家族6人を失う──さらに少年兵の兄まで」と題して、旧深川区白河にお住まいだった亀谷敏子さんにお話をしていただきました。
猛火の中を父と逃げ回って生き延び、味噌屋の地下に避難して亡くなった母や妹たちをようやく見つけ出すなまなましい下りでは、会場全体がシーンと静まりかえりました。
続いて、一橋大学大学院教授の吉田裕さんに、「アジア太平洋戦争と東京大空襲」という題で記念講演をしていただきました。未体験世代が東京大空襲の歴史を学び直すことの重要性などが、浮き彫りになったと思います。【休憩】
今年はこちらから持ち込んだカメラの映像を流してもらうことで、第二会場で上映する映像の質を格段に向上させましたが、ほとんどの方に本会場へ入っていただくことができました。
休憩時間にも本を手に取ってみる方が多くいらっしゃいました。【第二部】
後半のスタートは、センターの山本唯人主任研究員が、「戦災資料センターのこの1年」と題して、スライドを上映しながら今年度のセンターの活動を振り返りました。
続いて「センターで学ぶ子どもたち」のコーナー。伊豆大島の大島町立第一中学校のみなさんによるビデオレターの上映です。感想を述べ終えたあとのほっとした表情に、会場も和みました。
小名木川小学校6年生の3人の児童のみなさんによる、感想文の朗読。この土地で暮らす者としての自負と決意が感じられ、胸を打ちました。
センターでは映像による「証言映像」の記録を進めていますが、今年は折り鶴でも知られる橋本代志子さんに登場していただきました。言葉に詰まるシーンもそのまま収録されていて、深い余韻を残しました。
ドイツからお迎えしたマティアス・ノイツナーさん(「1945年2月13日」協会代表)によるお話「ドレスデン空襲の継承者として」。
空爆を実施した側と被害者のあいだの「和解」を推進していくという言葉に、日本にはない発想が感じられ、ハッと胸を突かれました。
通訳は早稲田大学学生の江口雄磨さん。声もよく通り、わかりやすい翻訳が大好評でした。
早乙女勝元館長の挨拶「戦後を戦前にしないために」。いつもながらの緩急自在な語り口で、行動を起こさねばならないと自覚させる深いテーマを、さりげなく指し示してくれました。
最後は、東京都教職員組合執行委員長の工藤芳弘さんによる閉会挨拶。江東区で教えたご自身の体験を交えたお話に、深くうなずく姿も多く見られました。
閉会後のロビーでも、橋本さんの折り鶴が配られました。
東京大空襲を語り継ぐつどい
=東京大空襲・戦災資料センター 開館11周年=
日時: 2013年3月9日(土)
会場: カメリアホール
1.献笛:「いのち 深川」
横笛演奏:赤尾 三千子さん
共演 三絃、うた:本田由美子さん
2.体験を語る:「3月10日、家族6人を失う──さらに少年兵の兄まで」
亀谷敏子さん
・講演:「アジア太平洋戦争と東京大空襲」
吉田 裕さん(一橋大学大学院教授)
3.東京大空襲を語り継ぐ
・戦災資料センターのこの1年(山本唯人主任研究員)
・センターで学ぶ子どもたち
大島町立第一中学校のみなさん(ビデオレター)
小名木川小学校6年生のみなさん(感想朗読)
・証言映像作品の発表:(出演:橋本代志子さん)
企画・制作:証言映像プロジェクト・あいファクトリー
4.あいさつ:マティアス・ノイツナーさん
(ドレスデン空襲の証言記録・継承団体「1945年2月13日」協会代表)
5.お話:「戦後を戦前にしないために」
早乙女 勝元(東京大空襲・戦災資料センター館長)
6.閉会挨拶
工藤芳弘(東京都教職員組合執行委員長)
〈吉田裕さんのプロフィール〉
1954年生まれ。東京大空襲・戦災資料センター戦争災害研究室主任研究員、日本近現代史。著書『アジア・太平洋戦争』(岩波新書)、『日本人の戦争観』(岩波現代文庫)、他多数
