【07】日本とドイツの空襲展示を比較する研究会を開催しました
2月23日、研究者の南守夫さんを囲んで
2月23日(土)、研究者の南守夫さん(元愛知教育大教授、ドイツ文学・ドイツ現代史)をお呼びして、日本とドイツの空襲展示を比較する公開研究会を開催しました。報告のテーマは、「空襲展示の意義と課題──日本とドイツの空襲展示の比較を通して考える」です。
報告では、日本とドイツの空襲被害の共通点と違いを、数字をあげて説明したあと、ドイツ空襲論争のきっかけになった、ヴィンフリート・ゲオルク・ゼーバルト著『空襲と文学』(原著1999年刊、翻訳2008年、白水社刊)の意味について、論じられました。
日本とドイツは、自らが無差別爆撃を行ったと同時に、無差別爆撃を受ける側にもなったという共通性があること、ドイツでは人口5万人程度以上の都市がほとんど焼き払われ、日本以上に空襲の実体験を持っている人の割合が多いこと、また、ドイツでは、戦後、空襲体験がほとんど語られてこなかったが、空襲の実態を見つめることは、加害の実態についても本当の意味で見つめ直すきっかけになりうること、一方、空襲の加害を、ナショナリズムに陥らずに歴史のなかに位置付けるにはどうすればいいかなど、興味深い論点が出されました。
後半では、ドイツのベルリン、ハンブルク、日本の浜松の空襲展示などをスライドで説明しながら、その課題が論じられました。
会場には、研究者や博物館の関係者、市民の方々なども参加し、活発な討論が行われました。南さんからは、残された戦跡だけでなく、戦跡を残していく市民運動もいっしょに展示していくことの大切さが述べられ、3月13日に大阪、16日に東京で開催される、ドレスデンの「1945年2月13日」協会代表、マティアス・ノイツナーさんの講演会は、ドイツの市民運動の当事者から、直接、お話を聞ける貴重な機会であると、触れていただきました。
東京と大阪の講演会は、日本とドイツの経験を、親しく交流する機会にしたいと思います。関心のある方は、ぜひご参加ください。