【06】早乙女館長の『ゆびきり』が、新装版で刊行されました
1961年刊行の『ゆびきり』(理論社)、
絵はいわさきちひろさんです
戦災資料センターの早乙女勝元館長が画家のいわさきちひろさんと組んで1961年に発表した『ゆびきり』(理論社)が、このほど新装版となって新日本出版社から刊行されました。半世紀以上を経て再びよみがえったこの作品を、館長はこんなふうに振り返っています。
「平和の灯は、今かぼそく揺らいでいる。いのち・くらし・安全を脅かすものが、土石流のようにジワジワヒタヒタと迫りつつある現在、ちひろさんが初めて東京大空襲を描き、さし絵に配した『ゆびきり』が、新装版で世に出るのは、タイムリーで感激である。平和は平和の時にしか守れない。本書が子ども大人を問わず広く読み継がれることを、願ってやまない」(本書「『ゆびきり』とちひろさんと」より)
カバーにかけられた帯に「ただの一度しか交わさなかった“ゆびきり”──ちひろさんの美しい挿絵が、下町のちいさな路地うらに、導いてくれる。少年たちの楽しくもあり、せつない物語」と書かれているように、あの頃のいきいきとした少年たちの表情がとても印象的です。ぜひ手にとってみてください。
ゆびきり
著者:早乙女勝元
絵:いわさきちひろ
出版社:新日本出版社
ISBN978-4–406–05675–5 C0093
発売日: 2013年2月15日
価格:本体1900円+税
●早乙女勝元(さおとめ・かつもと)
1932年、東京生まれ。 12歳で東京大空襲を経験。働きながら文学を志し、18歳の自分史『下町の故郷』が20歳で刊行される。『ハモニカ工場』発表後はフリーで、ルポルタージュ『東京大空襲』(岩波新書)が話題になる(日本ジャーナリスト会議奨励賞)。 70年、「東京空襲を記録する会」を呼びかけ、同会による『東京大空襲・戦災誌』が菊池寛賞を受賞した。主な作品に『早乙女勝元自選集』(全12巻 日本図書センター)、『東京が燃えた日』(岩波ジュニア新書)、『図説・東京大空襲』(河出書房新社)、『空襲被災者の一分』(本の泉社)、『下町っ子戦争物語』(東京新聞出版部)、『ハロランの東京大空襲』(新日本出版社)などがある。
●いわさきちひろ
1918年福井県武生市に生まれ、翌年、東京に移る。本名松本知弘。三人姉妹の長女。東京府立第六高女卒。 1946年日本共産党に入党。1950年松本善明(弁護士、元衆議院議員)と結婚。童画家として活躍。 1974年原発性肝癌のため死去。代表作に「あめのひのおるすばん」(至光社)、「戦火のなかの子どもたち」(岩崎書店)、自伝風絵本「わたしのえほん」(新日本出版社)、画集に「いわさきちひろ作品集」(全7巻 岩崎書店)、「ちひろ美術館」(全12巻・別巻 講談社)などがある。