母子像東京大空襲・戦災資料センター

【15】「朗読会『死んでもブレストを』」を開催しました

4月4日(土)、北原久仁香さんと
朗読わーく「言の葉を愛でる」のみなさん

2月25日(水)から4月5日(日)まで、2009年の第1回特別展として「『死んでもブレストを』原画展−−その時、墨田電話局では何が起こったか」を開催しましたが、その一環として、4月4日の土曜日2時から、北原久仁香さんと朗読わーく「言の葉を愛でる」のみなさんによる「朗読会『死んでもブレストを』」が開かれました。(写真左から、北原久仁香さん、五十嵐妙さん、枝木美香さん、前田はるみさん、山本佳克さん)

まず、司会・進行をつとめる山辺昌彦さん(戦災資料センター主任研究員)によるプログラムの紹介で始まりました。会場には、来館されて展示を見学されていた方々も含めて80名以上のみなさんが集まり、補助椅子を何度か追加するほどの盛況となりました。

最初は原作者の早乙女勝元館長による、ユーモアあふれる挨拶。「一度書いた本は読まない主義なので、二十数年前に書いた内容がはたしていま納得できる内容になっているのかどうか、今日はどきどきしています」と笑いを誘いながら、若い世代による体験の継承を今後どうやって続けていくのかについて、深く考えさせるお話をされました。

その後出演者が舞台に並び、静かに音楽が流れるなかで朗読がスタート。一人がずっと読むのではなく、地の文章や登場人物の台詞ごとに朗読者が割り当てられ、舞台劇のようにいきいきとした会話が弾みます。迫真の演技に、会場全体がシーンとなる場面も数多くありました。

約1時間の公演でしたが、語りだけで絵の上映などもないのに、まったく退屈することなく、ぐいぐいとお話に引き込まれました。当時の人たちの暮らしぶりや空襲当夜の切迫した模様、悲惨な状況などがまざまざと脳裏に浮かび上がってきて、あっという間に終わってしまった気がします。

原作の構成や表現の素晴らしさをあらためて思い知らされるとともに、言葉で伝えていくことの大切さが、強く心に刻まれました。

『死んでもブレストを』原画展会場全景