母子像東京大空襲・戦災資料センター

【23】2007年度第2回特別展のご案内

『VOICE−−知らない世代からのメッセージ』展
2007年12月6日(木)〜2008年1月14日(月)

 民立民営の資料館として設立された東京大空襲・戦災資料センターは、2007年3月、増築リニューアルを実現し、拡張されたスペースを使って、年2回程度の特別展を開催していくことになりました。

 今年度第2回の特別展では、「若い世代の表現活動を支援する」というコンセプトの下、資料センターとつながりのある20代〜30代の写真・映像作家に声をかけ、「戦争を伝える」をテーマにした、グループ展を下記のように開催することにしました。

〈記〉

2007年度第2回特別展
『VOICE−−知らない世代からのメッセージ』展

◆期間 2007年12月6日(木)〜2008年1月14日(月祝)
 月火休館(12月24日・1月14日開館)
 12月28日〜1月4日休館

◆開館時間 12:00〜16:00

◆場所 東京大空襲・戦災資料センター

●フィールドワーク砂町の空襲
 12月8日(土)13:30

●ギャラリートーク(作家による作品解説)
 12月22日(土)13:30
 1月14日(月祝)13:30

◆主催 東京大空襲・戦災資料センター
 協力 大西みつぐ(写真家)

出典作品と作者

※本ページ作成後、出展内容や作品に変更がありました。当日会場で配布している「作品案内のチラシ」をこちらで用意していますので、ご覧ください。

■映像「トウキョウ・ソラ・ヒト」


蒲生美緒
早稲田大学3年、北海道出身、22歳

■映像「祈りの瞬間の中で−−広島・長崎・東京」


鳥居巧
慶応大学3年。祖母の兄が沖縄で戦死し、幼い頃から戦争や戦跡に興味を持つ。この夏初めて広島・長崎を訪れ、被爆地のメッセージを広く伝えたいと思い、この企画に参加。

村松佑樹
静岡県出身の大学3年。ビルの乱立する東京の景色を見て、東京大空襲で焼け野原になったはずの土地がどのように復興したのか疑問をもつ。また、広島長崎と東京の戦争被害報道の違いにも疑問を持ち、映像コンテンツによってその疑問を表現したいと考える。

■写真「Requiem東京大空襲の今」


広瀬美紀
フリーカメラマン。2002年3月、北里大学大学院医療系研究科修了。2004年まで、神奈川県公立中学・高校理科講師。2005年3月、日本写真芸術専門学校II部報道芸術科樋口ゼミ卒

■写真「FORCE」


渡邉祐一
1969年千葉県生まれ。電気技術者を経て、2001年日本写真芸術専門学校入学。2003年同校報道写真科樋口ゼミ卒業。2005年6月に銀座ニコンサロン、11月に大阪ニコンサロンにて個展開催。現在フリー

■協力

大西みつぐ(写真家)
1952年東京深川生まれ。85年『河口の町』で第22回太陽賞、93年『遠い夏』ほかで第18回木村伊兵衛賞。ほか、写真集・個展・企画展など多数。現在東京総合写真専門学校講師、武蔵野美術大学非常勤講師、日本写真家協会会員

趣旨

 アートに何が伝えられるのか−−『VOICE』展はこの問いを出発点に、〈戦争〉に向き合おうとする若い世代のアーティストと、東京下町を拠点に空襲体験を伝えてきた戦災資料センターのコラボレーションにより実現した展示です。

 今年5月から準備をはじめ、「あなたなら、戦争をどう伝えますか」という資料センターからの問いかけに、20代〜30代の5人のアーティストや映像作家をめざす学生たちから、4つの作品=提案が集まりました。作家のみなさんには、「歴史資料」の展示とは異なる、「アート」に伝えられることは何かを、特に意識してもらいました。

 また、今回は作品そのものの完成度にくわえて、展示を「作り上げる」プロセスを重視しました。

 アドヴァイザーとして、下町をテーマに写真を撮り続ける写真家・大西みつぐ氏の全面的な協力を頂き、展示グループが発足してから約半年、月1回のミーティングや体験者からの聞き取り、フィールドワークなどを行いました。ミーティングでは、毎回、それぞれの展示構想を持ち寄り、「知らない世代」の立場から、戦争体験者や町の風景にこめられた声=VOICEを伝える表現の可能性について、討議を重ねました。

 展示づくりのプロセスそのものが、体験世代と非体験世代、資料館とアーティスト、若者たちを結びつける新しい「伝承の場」を創造する試みとなりました。民間資料館が、地域のなかで培ってきたきめ細かな人間関係、歴史資料のストックを活かす、新しい社会貢献のモデルにしていきたいと、期待しています。

 「伝えていくこと」の大切さが、今ほど問われている時代はありません。若者たちと資料センターの挑戦を、広くお伝えくだされば幸いです。