母子像東京大空襲・戦災資料センター

【23】「秋の平和文化祭」を開催しました

秋の平和文化祭を終えて
企画担当 山本唯人(センター主任研究員)

おり紙ワークショップ

おり紙ワークショップ


 2014年、センターとしてはじめて、秋の平和文化祭を開催しました。
 これまで、「伝える」活動の中心になってきた、戦争体験世代の高齢化がすすむなか、「受け継ぐ世代」の側から、体験を直接語り伝えるというのではないやり方で、戦争を伝えようとする試みです。
 会期中、多くの方から、励ましや感想、ご意見をうかがいました。
 そのなかから、見えてきたことをいくつか、書いておきます。

1)非体験世代が、さまざまな表現を通じて、「伝え方」を模索する場ができたこと

 「伝えてほしい」という期待を受けとめるためにも、非体験世代には、結論を急がず、悩みながら、ともに考えていく「途中の時間」が必要です。
 音楽劇、映像、詩―ひとの経験を、音や身ぶり、ことば、目に見えるイメージなどを通して、表し伝える、「文化」という営みは、この「時間」を豊かで、奥深いものにしてくれました。


2)カタチにして残すこと

 今回の文化祭をとおして、さまざまな「作品」が生まれました。それらのいくつかは、祭のあとも、センターで公開され、戦争を伝え続けていきます。


3)「つながり」が生まれたこと

 これまでにない多くの方に協力をいただき、また、出会うことができました。
 こうした出会いが、戦後の市民運動から受け継いだセンターという「器」に、いまの時代の息吹を吹き込んでいきます。


 文化祭の成果を、ぜひ見に来てください。
 ここに生まれた「熱」をどう来年の大切な年、70周年に引き継ぐか。それが、わたしたちの次なるテーマです。
 主催者として、協力いただいたすべてのみなさまに感謝します。


11月1日(土)

一人音楽劇 猫は生きている&おり紙ワークショップ

公演・ワークショップ指導 猫座

猫は生きているを演じる女優の福井淑恵さん

「猫は生きている」を演じる女優の福井淑恵さん


一人音楽劇を見たあとのおり紙ワークショップ

一人音楽劇を見たあとのおり紙ワークショップ


11月2日(日)

学生映像祭&シアタートーク
足もとの「戦争」に出会う、そして伝える


映像作品

『表参道が燃えた日』
文化学院高等課程1年 2012年 14分
『未来へ伝えていく―学生が考える平塚空襲』
東海大学文学部広報メディア学科
陽晃ほか 2014年 15分

シアタートーク「学生たちは映像をどうつくったか」

長倉徳生(文化学院講師)
陽晃(東海大学文学部広報メディア学科学生)
五嶋正治(東海大学文学部広報メディア学科教授)

作品上映後のシアタートーク

作品上映後のシアタートーク


11月3日(月・祝)

詩をよみ、映像が語る
空襲と詩と下町と
鈴木志郎康さんの詩をフィールドワークする


映像作品

『この身の持ち越し』(小沢和史・小沢ゆう・鈴木野々歩、2014年、36分)
『少年と鈴木志郎康の詩を歩く。』(山本遊子、2014年、21分)

ゲストトーク

鈴木志郎康(詩人)
小沢和史・小沢ゆう・鈴木野々歩・山本遊子(映像作家)

映像作品の上映

映像作品の上映


詩と映像作品について語る鈴木志郎康さん

詩と映像作品について語る鈴木志郎康さん


映像作家たちからの発言

映像作家たちからの発言



 11月2日と3日に上映された4本の映像作品は、近く、センターにて常設公開されます。
 秋の文化祭の参加者は3日間で、114人でした。
 ありがとうございました!