東京大空襲・戦災資料センターとは何か

東京大空襲・戦災資料センターは民間の学術研究機関である公益財団法人政治経済研究所の付属博物館です。
目的は東京大空襲をはじめとする空襲や戦争による一般民間人の被害の実相を明らかにし、それを伝えていくことにあります。そのことを通して、二度と戦争の惨禍を繰り返すことなく、平和な世界を築くことに貢献したいと願っています。

東京空襲を記録する会は1970年に結成され、1973~1974年に『東京大空襲・戦災誌』全5巻を刊行しました。その後、東京空襲を記録する会は東京都に空襲記念館の建設を要望してきました。東京都は1992年1月に「平和記念館(仮称)」建設を決定し、準備検討してきましたが、1999年4月に財政難を理由に建設計画を凍結しました。それではいけないということで、財団法人政治経済研究所と東京空襲を記録する会が中心になって民間募金を呼びかけ、2000年3月10日から募金と新資料収集を開始しました。4000人以上の人から1億円以上募金が集まりました。2002年3月9日に政治経済研究所の付属博物館として開館し、10日から一般公開しました。初代館長には早乙女勝元さんがなりました。
土地は志ある人からすでに無償で財団法人政治経済研究所に寄付されており、政治経済研究所は事務所を建てていましたが、その隣に東京大空襲・戦災資料センターを建てたわけです。東京空襲を記録する会が集めていた資料と新たに東京大空襲・戦災資料センターに寄せられた資料を展示しました。
展示量や質の充実、説明室を倍に広げることが課題になり、2005年8月から増築のための募金に取り組み、2007年3月に政治経済研究所の事務所跡地に、政治経済研究所の事務所・共同研究室と東京大空襲・戦災資料センターの増築部分を含む建物が完成し、新しい広げられた展示がオープンしました。
2006年6月には政治経済研究所の中に戦争災害研究室が組織され、2007年度から文部科学省の科学研究費の交付を受けるようになり、東京空襲などの戦争被害の研究を本格化させ、研究成果を報告書の形で公開したり、研究成果で展示を充実させました。
2011年10月11日に財団法人政治経済研究所は公益財団法人政治経済研究所への移行が認定されました。東京大空襲・戦災資料センターの事業は、公益財団法政治経済研究所の公益目的事業Ⅱに位置づけられるようになりました。
2017年5月から9月にかけて建物全面改築をし、安全に不特定多数の見学を可能にし、バリアフリー対応する施設になりました。

東京大空襲・戦災資料センターは常設展示以外に、調査研究事業、研究成果報告書・資料集・資料目録・展示図録・展示解説書・空襲遺跡紹介書・空襲体験記などの刊行、講演会やシンポジウムの開催、特別展の開催、東京大空襲を語りつぐつどいの開催、夏の特別企画の開催、空襲証言映像の制作、空襲体験の継承、センターニュースの発行などの事業を行っています。
経費は維持会費、維持募金、事業収入と、公益財団法人政治経済研究所の収益事業から収益の一部繰り入れによってまかなっています。

2000年 3月
開館当時のセンター

東京空襲を記録する会と財団法人政治経済研究所が学士会館で「平和のための戦争・戦災センター」建設募金の訴えを発表
(最終的に4000名以上の方々から1億円を超える募金が寄せられた)

2001年 9月
世界の子どもの平和像

起工式

2002年 3月 「開館式」・「開館を祝う集い」開催 一般公開スタート
5月 「『世界の子どもの平和像』除幕1周年のつどい」開催
6月 開館記念シンポジウム「都市空襲を考える」開催(以降、2005年まで毎年1回で全4回を開催)
7月 広報誌『東京大空襲・戦災資料センターニュース』№1発行
センター「友の会」発足
2003年 3月 「開館1周年のつどい」開催(以降、毎年3月につどい開催が定着)
2004年 3月 3階展示室に「子どもたちと戦争」コーナーを開設
2005年 3月 「開館3周年・東京大空襲60周年のつどい」開催
7月 ガイドブック『戦災資料センターから東京大空襲を歩く』刊行
8月 増築募金の呼びかけスタート
2006年 2月 NHKスペシャル『東京大空襲―60年目の被災地図』の制作に協力した功績により関東甲信越地域放送文化賞を受賞
6月 研究部門として戦争災害研究室を設置(翌年より文部科学省の科学研究費交付を受ける)
8月 夏休みの宿題で来館する小学生の親子を対象に空襲体験や紙芝居のイベントを開催(翌年以降、夏休みの親子企画として定着)
10月〜 増築工事のため臨時休館
2007年 3月
増築後のセンター

増築工事完成、リニューアルオープン
「語り継ぐ東京大空襲―開館5周年のつどい」開催

4月 ひめゆり平和祈念資料館(沖縄県)のみなさんが来館し、交流
7月〜8月 特別展「東京大空襲の生き証人 鈴木賢士写真展」を開催(定期的な特別展のはじまり)
10月 シンポジウム「無差別爆撃の源流―ゲルニカ・中国都市爆撃を検証する」開催
2008年 7月〜8月 親子向けの企画を「夏の親子企画」として恒例イベントに
10月 「無差別爆撃国際シンポジウム―世界の被災都市は空襲をどう伝えてきたのか」開催
10月〜12月 5回にわたって「東京大空襲・戦災資料センター学習講座」を開催
11月〜12月 特別展「高校生たちが見た東京の空襲被災樹木展」を開催
2009年 7月 『〈岩波DVDブック Peace Archives〉東京・ゲルニカ・重慶-空襲から平和を考える』刊行
7月〜9月 特別展「東京・ゲルニカ・重慶空襲写真展」を開催
8月 夏休みの親子企画が江東区教育委員会から後援をうける(以後継続)
9月 証言映像プロジェクトがスタート
10月 日野原重明氏が来館
10月〜11月 岩波DVDブック刊行記念の連続公開講座を開催(全5回)
2010年 2月〜4月 特別展「おのざわさんいち空襲画展」を開催
12月 筑紫哲也さんが携わった東京大空襲のTV番組に関する常設展示を開設
12月 『ビジュアルブック語り伝える東京大空襲① 戦争・空襲への道』(早乙女勝元監修、東京大空襲・戦災資料センター編)を刊行(全5巻のシリーズで翌年3月に完結)
2011年 6月 「東京大空襲証言映像プロジェクト公開研究会」を開催
8月 証言映像2作品の上映会を開催(以降、完成作品は館内で公開)
来館者が10万人を突破
10月 政治経済研究所が公益財団法人に移行
2012年 2月〜4月 「10周年記念特別展・東方社写真部が記録したアメリカ軍の無差別爆撃」開催
3月 「東京大空襲を語り継ぐつどい─戦災資料センター開館10周年」を開催
2013年 3月 特別展「空襲を伝えるドイツの都市―ドレスデン・ベルリン・ハンブルク」開催
2014年 2月 『フィールドワーク東京大空襲』を平和文化より刊行
3月〜
証言映像マップ

新しい被災地図(「いのちの被災地図」)と「東京大空襲証言映像マップ」(研究助成:公益財団法人トヨタ財団)を公開開始

4月・5月 証言映像2作品の上映会・シアタートーク
7月〜 センターが所蔵する『都内戦災殉難者霊名簿』に関するレファレンスを開始
11月 「秋の平和文化祭」を開催
2015年 1月 『決定版 東京空襲写真集-アメリカ軍の無差別爆撃による被害記録-』刊行
展示のガイドボランティアが発足
2月〜4月 写真集刊行記念特別展「東京空襲写真展」を開催
3月 「東京大空襲70年 東京大空襲を語りつぐつどい」を開催
8月 参加者の幅を増やすため「夏の親子企画」を「夏休み特別企画」に
10月 空襲体験とセンターの次世代継承をめざして「次世代継承研究会」発足
11月 「証言映像マップ」が第19回文化庁メディア芸術祭で審査委員会推薦作品に
2016年 6月 開館15周年に伴うリニューアル事業計画がスタート
7月 『東京復興写真集―1945~46 文化社がみた焼跡からの再起』を勉誠出版より刊行
10月 センターの展示を紹介する新しいガイダンス映像『東京空襲って何?』を公開
2017年 2月〜4月 特別展「空襲被災者と戦後日本」を開催
5月〜 リニューアル特定寄附金の募集を開始(2018年3月まで)
5月〜9月 リニューアル工事(建物改修工事)を実施
9月 霊名簿研究会が報告書『東京空襲の死者名簿に関する研究』(政治経済研究所リサーチペーパー)を刊行
2018年 2月〜4月
夏休み特別企画(2018年)

特別展「名前と顔と足あと―3月10日・失われた人びと」開催

2019年 3月 ホームページをリニューアル
センターでお話している体験者の体験記録集『あのとき子どもだった―東京大空襲 21人の記録』を刊行